2014年5月4日日曜日

英語ディベート用資料(2)

http://digitalcast.jp/v/13194/

TEDで行われた「世界は今原子力を必要としているのか?」についてのディベート。なかなか興味深いのでご紹介します。

クリス:公開討論を行います 討論の主題は 「世界は今 原子力を必要としているのか?」 議論に行く前に 賛成か反対か みなさん挙手をお願いします 賛成の方手を挙げてください 了解 降ろして 反対の方は? 今の時点ではだいたい 賛成75 反対25で賛成が優勢のようです 討論の後にもう一度票を取ります 変化するかどうか楽しみですね 討論は各自の持ち時間が6分間あります その後 両者で簡単に意見交換を行います 客席からも 賛成反対の意見を それぞれ2名から頂きたいと思います
ではさっそく 賛成派から 環境運動の 生みの親の一人であり "Whole Earth Catalog"の著者でおなじみ スチュアート・ブランドです
スチュアート:やあ (拍手) 昔から、気候問題は 識者ほどそれを憂虞し 原子力は反対に 識者ほど 危惧しないと言われている 典型的な例はジェームス・ハンセンである NASAの気候学者で 大気中のCO2の濃度を 350ppmにすることを訴えている 彼は”Storms of My Grandchildren” という素晴らしい本を書いた ハンセンはこの問題に精力的に取り組んでいる 他の学者と同じように 原子力を推進している
ここに例がある この惑星は 温暖化が進んでおり 半分が都会である 人口の割合的には 6人中5人が 発展途上国に暮らしている 人々は都会へと移動し 子供たちを教育し 多くの子供を産まずに 平和に暮らしている 人々は都会へ集中し 仕事の次に欲しがるものと言えば 電気である 電気は手に入らないとなると 安易に盗まれてしまう 電気は田舎や都会に関わらず 世界中の貧しい人々によって求められている 都市部の電力量は 基底負荷電気と呼ばれる それは必要な電力として 常に発電されている そのエネルギー源は 石炭とガス 水力 そして限界に達しつつある 原子力だ 本当はここに4つ目があると良いが 太陽光 風力 などは 安定面や衛生面 拡張性において おぼつかないためまだ該当しない 原子力はその意味でも既に40年の実績がある
では 環境面の立場から 最も注目すべき点は 2大エネルギー源の原子力と石炭からの 排出物である 人間の1人が一生涯必要な電力を すべて原子力でまかなう場合 排出物はコーラ缶に収まる程度で済む ただし約900gと重たいコーラ缶だが しかし石炭の場合 一般的な 火力発電所においては たった1日分の排出物でさえ とてつもない量のCO2になる さて排出物はどうなるか? 殆どの原子炉は 地下貯蔵庫を持たないため 原子力の排出物は 貯蔵キャスクに格納される ただ 勝手に移動しないのでそれほど悪くない 一方 CO2は 数ギガトンという膨大な量が 大気に放出されるが まだそれを回収する術がない まさに我々が危惧する問題である 温暖効果ガスの排出量を 異なる電力ごとに比較すると 原子力は風力や水力より少なく 太陽光よりも ましては化石燃料より少ない
風力はすばらしい 私は好きだ 私はあの大きな風力発電機の 周りで過ごすのが好きだ しかし風力は太陽光発電のように 比較的心許ないエネルギー源であることを 我々は発見した とても大きな土地面積を必要とし 資材も原子力に比べ 約5~10倍必要である 一般的な風力発電所では 1ギガワットの電力に対し 648平方km必要とされる 実際デンマークやドイツなどでは 設置場所が原因で 風力発電が限界に達している 送電線は過剰気味になり 頭打ちになる 同じように、 特にここカリフォルニアでは 80カ所の太陽光発電所により 2589平方kmの 砂漠を整地する計画が 進んでいることが分かった 環境学者としては あまりやって欲しくない やせた農地でならまだマシかも 太陽光は屋根の上ではすばらしいが 土地利用となると 1ギガワットは約130平方kmの 砂漠の整地が必要である
これらを全部まとめて サウル・グリフィスが計算したところ 風力 太陽光 バイオ燃料などで 約13テラワットの エネルギーを 生産するには 米国とほぼ同じ大きさの土地が必要である 彼はこれを"Renewistan"と呼んでいる 英国の物理学者である デービッド・マカイは 彼の著書"Sustainable Energy"で 自分のことを 原子力推進派ではなく 単なる採算主義であると言っている
(笑い)
軍事的な視点では 軍備縮小のツールとして 原子力は最良である 我々はロシアの 核弾頭を 電気に変えた 米国の10%の電気は 廃棄した核弾頭が元となっている 我々はまだ核備蓄を始めていない 観衆は次世代の原子炉に 最も興味があると思う とても小さく およそ10~ 125メガワットくらい こちらは東芝製 こちらはロシアが水上に建築したもの 発展途上国の関心を惹くだろう こちらは地下に埋められるタイプ 原子力電池と呼ばれ とても安全で 核開発の防止にもなる これはニューメキシコにある Hyperion社が開発したもの こちらはオレゴンのNuScale社製 こちらはB&W社製の 統合高速炉 ネイサン・ミアボルドによるトリウム炉 各国の政府は 石炭の価格を上げ 原子力を推進する判断に迫られるだろう そこに未来がある
(拍手)
わかった わかった (拍手) では反対意見を 長い間 エネルギー問題や気候問題に 正面から立ち向かってきた男 彼は2000年に煙塵がCO2に次ぐ 地球温暖化の要因であることを発見した 彼のチームは異なるエネルギー源ごとに 相対的な影響度合いを 細かく計算した 初登場で不利かもしれませんが拝見しましょう スタンフォード大学より マーク・ヤコブソン教授です
マーク:ありがとうございます (拍手) 原子力エネルギーは 地熱や波力 さらに風力や太陽光などの 再生可能エネルギーよりも より大気を汚染し より多くのCO2を排出し 死亡率を高め 建設に時間を要する さらに核兵器の拡散を招く ではまずCO2排出量から 始めます CO2eとは 温暖化の原因となる 温室効果ガスや粒子を CO2濃度に換算した数値である 風力や集光型太陽熱は グラフが示す通り CO2排出量が最低である グラフには2つの棒がある 低い見積と高い見積 低い方は原子力業界による 見積もりで 高い方は 103の学術文献から算出した 見積もりの平均値である この数値は ライフサイクルCO2のみを表している
次に遅延について 原子力発電所は 計画段階から実際の運用まで 10年~19年は必要で 内訳は設置許可申請に 3年半~6年 そして建設許可に 2年半~4年 さらに実際の建設に4年~9年の歳月がかかる 現在中国では 5ギガワットの原発を建設中だが 建設の時間だけでも 平均7.1年かかる 計画の時間は含まれない 原子力の建設を待っている間にも 電気を発電し続けなければならないが それには通常は火力発電が用いられる このチャートはCO2e排出量を 風力発電の値を基準に 原子力 その他のエネルギー源との 比較を表したものである 風力は平均2年~5年必要で 太陽熱や太陽光と同くらいである よって原子力と風力その他との違いは 建設されるまでの機会損失に現れる これらを加えると 原子力は 風力に比べ9~17倍の CO2e排出量となる しかもこれは 必要面積の問題は含まれない
大気汚染による健康被害を見てみます これは自動車排気ガスによる 2020年の死者数を予想したものである 仮に米国の全ての自動車を 電気自動車や液体水素燃料や フレックスやE85燃料車にした場合 米国では現在 5万~10万人が大気汚染で亡くなっており うち2.5万人は排気ガスが原因だ 2020年にはこの数字は技術向上により 1.5万人に下がるだろう 右はガソリンによる排出で 2020年の死亡率である トウモロコシやセルロース系エタノールは 実は死亡率が若干高まる 原子力だと 大幅に減少する しかし風力や太陽熱ほどではない
原子力エネルギーの普及と 核兵器拡散は 関係がある なぜならインドやパキスタンは 原子力発電所で ウラニウムを濃縮し 内密に核兵器を開発した 北朝鮮もある程度は行っている イランは現在進行中で ベネズエラでも原子力発電所で 行われている可能性がある 原子力発電を 世界中に普及させ その結果 もしも 核爆弾が1つでも作られ 例えばムンバイなどの大都市に 投下されたとすると これによるさらなる死亡率を 米国の人口に 30年間に平均して換算すると このようになる 本当にこれが望んだ結果でしょうか
必要面積はどうだろうか 風力発電に必要な面積は どの発電源よりも少ない なぜならご覧の通り必要なのは 地面に刺さる柱の面積だけである さらに米国の全ての自動車の動力は 5メガワットの風力タービンが 73,000~145,000個あれば補え しかも1~3平方kmの 土地面積で十分である ちなみに空間は別の話だ 土地面積といつも混同される 人は土地面積と空間を混同してしまう これらの写真からもわかるように タービン間の空間は別目的で利用可能だ 例えば農業地や 放牧地や空き地など 海上の場合は土地すら必要ないが 原子力を見てみよう 原子力の場合はどうだろうか 設備がこの辺にあると 緩衝地帯が約44平方km必要だ そしてウラニウムの採掘場も 考慮しなくてはならない
従って土地面積において 原子力は風力より不利である この図は米国の全ての自動車を動かす為に どれだけの面積が必要か比較してみた これは次世代のバイオ燃料で プレーリー草を用いたセルロース これはコーンエタノール さらに小さい これはあらゆるデータを元にしている 原子力の場合は ロードアイランド州ほどの土地が必要だ 風力の場合は空間は大きいが 実際の土地面積は小さい もっとも風力の場合は 理論上 西海岸の 沖に設置することもできる さらに地熱の場合だと どちらよりも小さくなる 太陽光は原子力と比較すると若干小さい程度だが それでもかなり小さい 今のは全米の自動車の動力だが 全世界の半分の動力を風力でまかなう場合 おおよそ地球の1%の土地が必要になる
信頼性に合わせれば 基底負荷は無関係だ 需要変化に合わせて電力共有を行うことが求められる 再生可能エネルギーの組み合わせで実現できる これはカリフォルニアの実例だ 風力と太陽光のデータと そして既存の水力発電を利用すれば 時間ごとの需要に供給可能だ これは世界の風力資源 世界には我々が必要とするより 5~10倍の風力資源が存在する 以上をランキングとしてまとめた 最後に見せたいのは 風力か原子力か選ぶとして 風力を選ぶと 氷は残る 原子力を選ぶと 北極が溶ける 綺麗な青い空か 原子力による不確定な未来だ
(拍手)
クリス:わかった それではそれぞれのゲストに 答弁を考えてもらう間に 客席からも2人ずつ意見を 原子力に賛成の人は 両手を挙げてください 反対の人は片手を 2人ずつにマイクを渡してください それでは答弁ですが お互い1分の間に 相手への異議を唱えてください 何でもかまいません
スチュワート:主張が異なる所は 武器とエネルギーに 関するところだ これらのスライドには原子力が 沢山の温室効果ガスを排出するとある 良く原子力と戦争を 連想させたがるが これはある種 少し巧妙だと思う 現実には 21カ国に原子力があり うち7カ国が核兵器を保有している これらどの国でも原子力より以前に 核兵器を保有していた 北朝鮮とイスラエルの2カ国は 核兵器を保有しているが 原子力を1つも持っていない クリーンなエネルギーを 最も必要としている国 例えば中国 インド 欧州 北米 などは核兵器との関係の問題を 解決している そうなると残るはイランや ベネズエラなどの国で 核分裂などの 査察などを 細かく行うのが好ましい 原子力を推進するということは 核管理を徹底することである それを皆が理解することが 兵器問題と共に我々が前進することに繋がる
クリス:ではマーク 30秒で何か言いたいことを
マーク:インドとパキスタンは原子力を建設し その設備で核兵器を水面下に開発していたこと事実だ そもそも我々は原子力を必要としていない 太陽の光や風が十分にある 図で示したように 十分実用に耐えうる 実際のデータが示している これは進行中の研究であり 宇宙開発などとは違う 再生可能なエネルギーを活用すれば 世界が抱える問題を解決できる 原子力は全く必要無いのだ
(拍手)
クリス:では賛成の人 私はロッド・ベックストームです ICANNのCEOです 私は1994年から地球温暖化の 政策に関わっています この問題は環境防衛基金の役員になったとき 京都議定書の1つの成果でした 私はスチュワートの意見に賛成です この10年で意見が変わりました 以前は原子力反対派でしたが 今ではスチュワートの意見を支持します 特にリスク管理の観点から 温暖化のリスクは 原子力事故のリスクを 上回ると思います 実際あり得ることであり 現実の問題です しかし双方が納得できる解決策があります この討論を双方が勝つ方法です 今私たちはこの惑星が CO2の上限に達すれば絶滅という 危機に立っています 米国上院では 温暖化対策法案の通過に 党を超えた賛成票が必要ですが あと1、2票足りません 我々は手を貸せると思います 法案さえ通せれば マークが問題を解決してくれるでしょう
クリス:ありがとうロッドさん では反対派を
私はデイビッド・ファントンです ひとこと言わせてください まずプロパガンダを意識すべきです 業界からのプロパガンダは これまでも非常に強力で 我々は反対サイドの意見を ちゃんと知らされてないのです 人々は勝手な解釈をします プロパガンダを意識すべきです 次に 考えみてください 原子力発電所から排出される 全ての排出物は かなり沢山の トラックや電車で 毎日運搬されますが 交通事故が起こらないとも限りません 百年も千年も毒性が続く物質が 交通事故により 生活環境に放出されないと限りません 毎日走っているそれらのトラックや電車が テロリストの格好の標的になり得ると思います
クリス:ありがとう 賛成派は 誰かいますか?
アレックスと申します 私は再生可能エネルギーの大ファンで 家の屋根には太陽発電を 私が所有する水車では 水力発電を行ってます この様に再生可能エネルギーに賛成ですが 基本的な計算上の問題があると思っています 日照時間や風量や降水量などを 全て足し合わせても 十分ではありません 従って電気を絶やさない為には どんな時でも発電し続けられるような 解決策が必要です 80年代には核兵器反対運動を行いました 今でも行っています しかし現在では その核兵器を再利用し 発電に利用することが可能です そうすればこの計算問題も解決します 再生可能エネルギーのみでは十分な供給ができないのです 我々は常に発電できる解決策が必要です 常に電気を絶やさない為には 原子力がその解決策です
クリス:ありがとう 他の反対派は?
先ほどの意見で 再生可能エネルギーの資源が 十分ではないとありましたが 既にステージで 十分であることを証明してくれました よって資源が足りず 必要な電気を十分に 供給できないという 推論は誤ってます さらに1つ言えることは レイ・カーツワイルなどが主張するように 技術は飛躍的に進歩している 現在の再生可能エネルギーだけを見て 「これじゃ難しい」とは言えません なぜなら5年後には 原子力に代わる 代替手段が沢山あるでしょうから
クリス:よくわかりました ありがとう
(拍手)
ではそれぞれ手短に 30秒で 最後の言葉をどうぞ スチュワートから
スチュワート: 君が見せてくれた 「全てのつじつまが合う」図が好きだ 昼は天気が良く 夜は風が強いやつ 英国では今 異常な寒さが続いている 全ての領土内で 風が1週間吹いていない これらが1つも起きていないのだ 結局フランスから原子力エネルギーを買った 英仏海峡トンネルを通じ2ギガワット これは繰り返し起きている 私も以前は排出物の長期保管を気にしたが 次世代の原子力発電では 放射性破棄物を発電燃料として利用できる そして小型原子炉は特に期待している ネイサン・ミアボルドが言っていたが 私は原子力規制委員会が 小型原子炉を推進できるように 国会に働きかけるつもりだ これは米国だけでなく世界で必要とされる
(拍手)
マーク:私たちは1時間毎に 需要と供給を 太陽光と風力のカリフォルニアのデータを分析した そしてほぼ1年を通して 需要を満たせることがわかった 資源に関しては 我々は初めて風の世界地図を作成した 高さ80mで計測した 資源のことは既に判明しており 15%はカバーできる 米国全体の15%は コストに見合うだけの風速が得られる 太陽光よりも風のほうが豊富である 余る程の資源があり信頼性が高い
クリス:OK ありがとう マーク (拍手) パームスプリングスに居る方は~ (笑い) (拍手) 恥知らず (拍手)
TEDコミュニティの方々 それでは 世界は今 原子力は必要か? 賛成の方 手を挙げて下さい (歓声) 反対の方 へぇ なるほど・・・ では この討論によって気が変わった人は 手を挙げて下さい 考えが変わった方の中で 賛成する人 手を挙げて下さい なるほど 結果としては 両者共に支持されていますが 私が数えた限りでは 観衆の皆さんは 賛成75 反対25から 賛成65 反対35に 変化したようです
両者勝利ですね 二人ともおめでとう ありがとうございました
(拍手)