2011年1月31日月曜日

木村達哉先生講演会詳細

灘高校の紹介
東京大昨年度学合格者103人(昨年度実績150人ぐらい受験した中で)。しかし、近年、不景気により東京大学にこだわらずに関西にとどまるケースが増えてきた。ただ、都市の規模で言うと日本で二番目に大きい都市は横浜。

木村先生の授業について
授業中の飲食オッケーにしている。糖分や水分の補給は認めている。授業中にスクワットや腕立て伏せもさせるから。しかしご飯、せんべい、ガム禁止。勉強に必要なものは「集中力」灘高生の自宅での平均学習時間30分。しかしこの中でいかに集中しているかが重要。ただ、学校に放課後残って2時間ぐらいはやっているかもしれない、とのこと。

英語学習について
英語を勉強するにはまずスタート地点の確認が大事。自分が英語の力が現時点でどれぐらいあるのかを把握する必要性がある。スタート地点もゴール時点も人それぞれであっていい。ネイティブレベルを求める人と、1週間後に海外旅行だから急場しのぎでなんとかしたい人では取り組める学習法も変わってくる。しかし共通して言えるのは「単語を覚える」というのはどのレベルでも必須であるということだ。
昨今「TOEIC」が英語の能力を測る物差しとして取り上げられることが多いが、TOEICで英語のレベルははかることが難しい。TOEICがその人の英語力をはかる物差しになるとは限らない。

英語の「土台」とは?
1)単語・・単語を知らなければ英文を読むのは無理。
中学校1年生の英文。What’s that?  This is a pen. ペンが何なのかを尋ねるのは非現実的。よほど一見してそれがペンであることが分からないペンが存在すれば別であるが。What’s ~? という構文自体は大事であるが、コンテンツが大事。
生活で使えるシチュエーションを考えるなら例えば、
A:「これ何?」
B:「これは新型の冷蔵庫でね・・・(以下説明)」
この方が話が膨らむ。それどころか、自分の生活や身の回りにある物さえ英語で言えない。英語力のない生徒の問題No.1は単語力のなさ。「身の回りの単語を覚える」「覚えながら使う」これ大事。
2)文法・・何らかの試験にパスするなり、スコアを目的にするなら必須。
3)読書・・一年間に何冊本を読めるか。人の話を聞くとか文章を読むとき、読書量の少ない生徒は途中で力つきる。構文分析で終わる生徒は、第一段落の内容ぐらいまでは覚えているが第2段落ぐらいからないようについては忘れてしまい、構造分析ばかりに気がいってしまい、設問を読んだ後にまた本文を読み直さなければならない。
第一段落を読み終わった時点でその後にどんな話がくるのか推測するはずである。こういうことができるようになるのが「読書量」に左右される。「全体」としてどれだけ読めるか、聞けるか、が読書量。

受信力を高めて発進力を高める
Writing        Speaking      Output

Reading       Listening      Input

読めるようにしてから、書かせる。
意味が即時に言えるようにしてから書かせる。
この原則は非常に重要だと思った。また、ライティングに関しては灘高校でも3年生から扱い、1・2年生では徹底的にインプットを与えているようだ。しかし、単語レベルが終わった後でフレーズで丸のまま覚えているので、アウトプット活動につながる可能性が高い。

Input > Output  受信ができるようになって初めて発信できるようになる。
母語に関する常識であるが、外国語学習でも同じ。母語で今まで
言ったことがない文を発信できるのはそれまで膨大な量の
日本語を吸収してきたから。英語でも例文の一部分をかえる英借文で
かなりのことが言えるようになる。

日頃の授業での活動を紹介
 灘高校では一週間に100語覚えさせる。
ユメタンの1セクション100語をまずは音声でクイックレスポンスできるようにさせる。授業外で生徒がどれぐらいやってくるかが鍵だが、やればできる。やらないからできないというのがはっきりしている。(カラオケで非常に複雑な曲を生徒たちは簡単に歌えたりする。これは繰り返しの賜物である意外に何者でもない。とするならばクイックレスポンスも繰り返しが大事である)

旧来の単語の覚え方
日本語の単語と英語の単語を1:1で覚えるやり方ではすぐ忘れてしまう。単語を「絵」として認知して覚えているので読めない。単語を書けなくてもまずはその単語を正しく発音できるようにすること、そして日本語で言われたらそれを即座に英語で言える、この訓練が必要。

月曜日
「読める」レベルに持っていかなければその後その生徒がその単語を
単語100個読むのに2分半しかかからない。
2回目:Quick response 読んで、意味の分からないもの・発音ができないものにレを入れる。知っているものは新たに覚えなくてもいい。弱点をつぶす学習法を生徒に身につけさせることは重要。10分で4回できる。覚えていない=やってないだけ。

火曜日
文・フレーズの確認 一つの単語にフレーズが2つずつ付いているので、1ローテ目は上のフレーズを覚えてこさせる。
生徒のHW:→繰り返しCDを聞いて発音して覚えてくる

水曜日
CD 日本語を聞いて、英語で発音させる Quick Response 100words で5分
単語→フレーズ/文のレベルまで。


リスニングで聞き取れない理由
1)知らない単語がある
「あかさかみつけ」が何なのか、地名なのか人名なのか、日本語でさえ「知らなければ聞き間違え」する。語彙力の強化=聞けて、発音できて、意味が分かる単語を増やす。最悪アクセントはあってれば、発音はOK。子音の学習も大事ではあるが、末尾に母音をおかない単語だけ気をつけていくようにする。

2)練習のときにものまねできるか。照れや頑固でまねできない人はのびない。

3)早口:速さというのは相対的なもの。自分のナチュラルスピードが速まれば、遅く聞こえる。また、音のつながり(子音が二つ並んだときのthは消える、など)

ディクテーションで自分の弱点を洗い出し
速音読で回数をこなす。(正しい発音でできるだけ早く)

学習した文章の一部分をかえて違う文章をたくさん練習する。

受信力を高めれば、発進力は自ずと高まる。(基本文を沢山インプットして、未知語や表現を自分で取り入れていけば、発信力が勝手に高まる)その言語を使って誰かとコミュニケートできなければその言語を使う能力は0であるのと同義である。

言語を「使う」
スピーキング力を高めるには「話すこと」
1日1時間英語アワーを作る。つぶやきも英語。分からない表現が出てきたら日本語をメモる→後で英語で調べる。その場面に戻って英語で発音できるように練習をする。

<感想>
進学校だろうと実業高校だろうと「音読」が必要なことには代わりがない。また使えるようにするには使わせなければいけないが、使わせる前に徹底的にインプットする量を確保する必要がある。単語については音声CDがついているものでないと、この指導ができないと思うので音声CDが各教科書会社、安価または無料でダウンロードできるようにするなど配慮していただきたいと思う。(それがないからアルクとかの教材を使わなければならない、などなんか違う気がするのだが)